消えゆく仕組み ― 技能実習制度はなぜ終わるのか
皆さんは「技能実習生」と聞くとどんなイメージを持つでしょうか。
外国人が日本で技術を学び、母国へ持ち帰る制度。
多くの人はそう考えているかもしれません。
しかし現実には、この制度は長年にわたり日本の人手不足を支える労働力確保の仕組みとして機能してきました。
そして今、その技能実習制度は大きな転換点を迎えています。
建前は国際貢献、
実態は人手不足対策
技能実習制度の公式な目的は「発展途上国への技術移転」です。
日本で学んだ技術や知識を母国へ持ち帰り、その国の発展に役立ててもらうという考え方です。
しかし実際には、多くの製造業、建設業、農業、介護業界が深刻な人手不足を補うために活用してきました。
「研修制度」と言いながら、実態は労働力として働いている。
ここに制度の大きな矛盾がありました。
なぜ問題が続いたのか
技能実習制度には複雑な仕組みがあります。
受入企業のほかに、監理団体、送り出し機関など複数の組織が関わります。
その過程で実習生は高額な手数料や渡航費を負担し、場合によっては数十万円から100万円近い借金を抱えて来日するケースもありました。
借金を返済するため、簡単には仕事を辞められません。
また原則として転職も認められていませんでした。
毎年数千人が失踪している現実
制度の問題を象徴するのが失踪問題です。
出入国在留管理庁によると、
2023年の失踪者数は9,753人で過去最多となりました。
2024年も6,510人が失踪しています。
失踪の背景には、
より高い賃金を求めるケース
長時間労働
パワハラ
劣悪な労働環境
など様々な理由があります。
もちろん全ての受入企業が問題を抱えているわけではありません。
しかし制度そのものが失踪を生みやすい構造だったことは否定できません。
技能実習制度は廃止へ
こうした問題を受け、政府は技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を創設する方針を決めています。
新制度では、
人材育成と人材確保を正面から認める
一定条件で転職可能
送り出し機関の規制強化
特定技能への移行を容易にする
といった見直しが行われる予定です。
これから企業が問われること
これまでのように「人が来る時代」は終わります。
これからは外国人から選ばれる企業だけが人材を確保できる時代になります。
給与、職場環境、教育体制、生活支援。
こうした取り組みがますます重要になるでしょう。
技能実習制度は、日本の外国人雇用の歴史に大きな役割を果たしました。
しかし、その役割は終わろうとしています。
今後の主役は特定技能と育成就労制度です。
外国人材を単なる労働力としてではなく、一緒に働く仲間として迎え入れられる企業が生き残る時代が始まろうとしています。
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