外国人を雇用するときの不安 言語コミュニケーション
外国人を雇用する際、企業が強く感じる不安の一つが、言語によるコミュニケーションの問題です。
特に製造業や建設業などの現場では、「なんとなく通じている」という状態が最も危険です。
小さな認識のズレが、品質不良や作業ミス、場合によっては事故につながる可能性があるからです。
例えば製造現場では、
「この部品は右側に寄せて仮止めしてから、本締めしてください」
という一見簡単な指示でも、「右」「仮止め」「本締め」といった作業用語を正確に理解していなければ、手順を間違えてしまう可能性があります。
見た目には問題がないように見えても、完成後に品質不良が発生したり、機械のトラブルにつながったりすることもあります。
さらに難しいのが、「分からないことを、分からないままにしてしまう」ケースです。
日本語にまだ不慣れな外国人労働者の場合、上司や先輩に何度も聞き返すことを遠慮してしまったり、「分かりません」と伝えることに心理的な抵抗を感じたりすることがあります。
その結果、十分に理解できていない状態でも作業を始めてしまい、後になって「さっき説明したのに、なぜできていないのか」という企業側の不信感につながることがあります。
これは本人だけの問題ではありません。
「分からないことを質問しやすい環境」ができているかどうかも、企業側にとって重要なポイントです。
また、トラブルが発生したときには、言語の問題がさらに大きなリスクになります。
例えば機械から異音がした場合や、作業中にケガをした場合、
「いつから」 「どこで」 「何が起きたのか」
を正確に伝えられなければ、初動対応が遅れてしまう可能性があります。
日常業務でも同じです。
日本人同士であれば、経験や職場の慣習によって「言わなくても分かる」ことがあります。
しかし、外国人労働者に対しては、曖昧な指示では十分に伝わらないことがあります。
「いつものようにやって」
「適当に並べて」
「とりあえずやってみて」
といった表現は、日本人同士なら通じても、外国人には具体的な行動が分かりにくい場合があります。
ところが、現場は忙しく、一つひとつの作業を丁寧に説明する時間を十分に取れないことも少なくありません。
ここに、外国人雇用におけるコミュニケーションの難しさがあります。
では、企業はどうすればよいのでしょうか。
重要なのは、「日本語ができる人を採用する」だけで問題を解決しようとしないことです。
例えば、
・やさしい日本語を使う
・指示は短く、具体的に伝える
・写真やイラストを活用する
・作業マニュアルを多言語化する
・重要な作業は実際に見せて確認する
・「分からなかったら聞いていい」という環境をつくる
といった工夫が有効です。
外国人雇用における言語の問題は、単純に「日本語が話せるか、話せないか」という問題ではありません。
仕事の正確性、安全性、そして職場の人間関係にも関わる重要な問題です。
だからこそ、外国人本人の日本語能力だけに頼るのではなく、「伝わる仕組み」を企業側がつくることが、外国人雇用を成功させるための重要なポイントになります。
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