特定技能制度が始まった2019年当時、政府は人手不足が深刻な14分野について、2019年度から2023年度までの5年間で受け入れる外国人の人数を設定していた。
当初の想定は、特定技能1号を中心として最大約34万5,000人。
これは無制限に受け入れるという制度ではなく、人手不足の状況などを踏まえて分野ごとに受入れ見込み数を設定したものだった。
主な分野を見ると、
介護約6万人、建設約4万人、農業約3万6,500人、ビルクリーニング約3万7,000人、飲食料品製造業約3万4,000人、外食業約5万3,000人などとなっていた。
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当時は「外国人労働者を大量に受け入れる制度」というよりも、国内だけでは人材を確保できない分野に対して、一定の人数を上限として外国人材を受け入れる制度という印象が強かった。
ところが、その後の日本の人手不足は、当初の想定を超える勢いで深刻化していった。
介護、建設、農業、製造業、外食など、外国人材への依存度を高める業界が増え、特定技能制度そのものも拡大していくことになる。
ここで重要なのは、「最初に設定された人数枠=その後も永遠に変わらない人数」ではなかったという点だ。
政府は人手不足の状況や各分野の需要を踏まえて受入れ見込数を見直してきた。そのため、制度開始当初の約34万5,000人という数字だけを見て、現在の特定技能制度を理解することはできない。
むしろ現場では、「人手不足が続く限り、必要に応じて外国人材の受入れが拡大していく」という方向性が強く意識されるようになっていた。
だからこそ、今回の外食業に対する受入れ停止は、単なる人数調整として受け止めにくい。
外食業界では、すでに特定技能外国人を人材確保の重要な選択肢として考えている企業が少なくない。採用を計画していた企業、登録支援機関、送り出し機関、外国人本人など、制度を前提に動いていた関係者も多い。
そこに突然、「これ以上は受け入れない」という方向性が示された。
これは、特定技能制度を利用してきた業界にとってかなり大きなインパクトである。
これまで「人手不足だから外国人材を増やしていく」という流れを当然のように見ていた企業にとって、今回の出来事は一つの転換点になるかもしれない。
特定技能は、単純に「外国人を何人入れられるか」という制度ではない。
政府がどの業界に、どれだけ外国人材を必要と認めるのか。
その判断一つで、企業の採用戦略も、外国人材のキャリアも大きく変わる。
外食業の受入停止は、単なる一分野の問題ではない。
「日本の人手不足=外国人を増やせば解決する」というこれまでの流れに、初めて明確なブレーキがかかった――。
私は今回の動きを、そういう意味でも注目している。